理学療法士が、長崎・南部に立ち上げた訪問看護ステーションの原点とこれから|代表インタビュー

「利用者さんに、寄り添った関わりがしたい。」

訪問看護ステーション「喜まま(きまま)」は、そんな想いからはじまった事業所です。

今回は、当事業所の代表に、喜まま立ち上げの経緯、どのような人材が向いているのかを伺いました。

理学療法士を目指した原点

わたしはもともと、北九州市の老人保健施設で介護福祉士として働いていました。

そこで、トランスファーの方法など人の体を動かすメカニズムを知り理学療法士を意識するようになりました。

その後、社会人学生として専門学校へ進み、急性期病院に就職。

2年目以降は循環器を中心に、心不全・心筋梗塞・狭心症、心臓外科術後の患者を担当してきました。

在宅へ踏み出した理由

(在宅にてリハビリする様子)

心臓リハビリを続けるなかで、内服や水分の管理がうまくいかず、入退院を繰り返す患者さんを何人も見てきました。

せっかく退院してもすぐに病院に戻ってきてしまう。

その度に「また、こっちに帰ってくるんだ。これは、なんとかならないもんかな。」と感じていたんです。

病院のなかでは、退院後の生活までは十分に支えきれない。

そこから、「生活にしっかり入り込んで、介入できる仕事はないか?」と思うようになっていました。

そして、たどり着いたのが、訪問看護だったんです。

「訪問看護のなかでリハビリをすることが、その人の生活に入り込んで支えるには一番良いんじゃないか」

そう考えるようになり、13年間勤めた病院を退職。新たな挑戦として、訪問看護の世界へ飛び込んだんです。

理想と現実。そのギャップが独立のきっかけに

(周辺の地域の様子)

ご縁があって訪問看護ステーションで働きはじめたものの、理想と現実のギャップを感じる場面もありました。

訪問看護は、訪問時間によって単位数が定められています。

事業所が利益をあげるためには「どれくらいの時間で、どれくらいの数を訪問するか」を考えなければいけません。

もちろん、それは大切なことです。

ただ、「件数ありき」「単位数ありき」「今日の訪問は○時○分までに退出」といった関わり方はしたくなかった。

わたしにとって「寄り添う」とは、その人がなにを求めているのかをしっかりと聞いた上で、必要なことをやっていくこと。

件数や単位数も大事ですが、それより前に、もっと大事な部分がある。

「自分がやりたいと思える場所は、自分がつくるしかない」

そう考え、長崎県南部に訪問看護ステーション「喜まま」を立ち上げたんです。

2024年10月、46歳での船出。守るべき家族もいたので、大きな決断でした。

「喜まま」という名前の意味

(外観)

「きまま」には、

「利用者さまが住み慣れたご自宅で、その人らしく、きままに過ごせる時間を大切にしたい」という想いを込めています。

また、利用者さんにとっても、職員にとっても、「喜びがあふれるようにしたい」という願いから、ステーションの名前は「喜まま」にしました。

「喜」は、わたし自身や、家族の名前にも使われている字であり、ご縁のある大切なものでもあります。

そうしたはじまりがあるからこそ、スタッフにとって「安心してここで働いていい」と思える環境づくりを、大切にしていきたいと思っています。

職場としての喜ままはどんなところ?

(なごやかな雰囲気で雑談中)

当事業所では、相談しやすい雰囲気づくりを重視しています。

訪問看護は、一度外に出ると数件続けて回り、そのまま直行直帰することも。

また、訪問スケジュールに余裕がなく、スタッフ同士で顔を合わせる機会が少なくなることもめずらしくありません。

喜ままでは、ゆったり訪問できるようにスケジュールを調整して、時間があればステーションに戻って来れるようにしています。

ふと、スタッフ同士が顔を合わせることで、「あの方、こんな状態だった」「どのように対応したらいいかな?」といった会話が自然と生まれることもあるんです。

改まって「相談があります」という形ではなく、何気ない雑談のなかで、利用者さんのことを自然と考える雰囲気があります。

看護師と理学療法士の協力体制

(朝礼の様子)

看護師と、リハビリの壁がないのも喜ままの良いところでしょうか。

看護師から「動きが気になるから見てくれないか」とリハビリへ提案したり、リハビリから「脱水気味かもしれないけど、どうかな」と相談したりすることも。

リハビリ訪問に看護師が同行したり、逆に看護師の訪問に、リハビリ担当者が帯同したりすることもあります。

柔軟な同行訪問が当事業所の良さのひとつです。

利用者さんにも、「今日はリハの日だけれど、看護師さんも来てくれた」と安心していただけることもあります。

20代〜50代まで幅広い年代の方が活躍している

(育休前の集合写真)

スタッフ構成は看護師が4名(うち育休中1名は来春復帰予定)、リハ2名、スポットを含めると最大5名という体制です。

20〜50代と幅広い層のスタッフで構成されています。

産休・育休も安心して取得できる環境を整えており、現在も約1年間の育休を取得しているスタッフがいます。

また、新卒を採用したことはありませんが、訪問未経験から働きはじめた方もいますね。

職員のインタビューはこちらをご覧ください。

柔軟な対応で、未経験の方も活躍しやすい

当事業所では、未経験から入職した方も活躍しています。

独り立ちするまでの流れは、大まかに、オリエンテーションの実施、同行訪問を繰り返しフィードバック、自信が持てたらひとりで訪問する、という流れで進めています。

独り立ちのタイミングは、「同行は2回まで、3回目からひとりで訪問する」といった具体的な回数では、決めていません。

本人の納得感を優先して、「この人(利用者さん)はひとりで行けそう」「この辺はまだ不安」ということを話し合って決めていきます。

また、緊急時の連絡はコミュニケーションツールを利用、仕組み化しており、疑問やトラブルがあればすぐに応じる体制を整えています。

求める人物像と、ミスマッチになりやすい方

(研修の様子)

求める人物像としては、第一に利用者さんと向き合える方です。

それと、ワークライフバランスを大事にする方、自己管理ができ、困ったときにひとりで抱え込まずなんでも話せる方が望ましいでしょうか。

とくに訪問は、ひとりになる時間も多い。そこで、誰にも頼らず抱え込むのは利用者さんにとっても、自分にとってもよくありません。

また、在宅は生活の場です。

医療機関の経験から「この症状(疾患)には、この対応しかないだろう」と決めつける方には、難しいかもしれません。

訪問看護というと、「ひとりで働く職場」というイメージを持つ方もいるでしょう。

しかし、うちは「和気あいあいとみんなで働きたい」といった雰囲気がある職場。

「独断で完結させたい」「ひとりでもくもくと仕事したい」という方は意外とうちには合わないかもしれませんね。

求職者へのメッセージ

(休憩中の様子)

お看取りの利用者さんを支援するなかで、ご家族が疲弊していたり、病院での受け入れが難しかったりする場面に直面することがあります。

そうしたときに、在宅がしっかりと受け皿になれる体制をつくりたいと考えています。

将来的には、小規模多機能型居宅介護のような形にまで発展させていくことが今の目標です。

また、現場では、「未経験だと受け入れてもらいにくい」という話を聞くこともあります。

そのなかで、若い方が「訪問看護をやってみたい」と思ってくれることは、とても貴重です。

とくに、長崎南部は高齢化が進んでいる地域。若い人材の存在は、これから必ずステーションの財産になります。

(周辺地域の様子)

だからこそ、経験の有無だけで判断するのではなく、若い力を大切に育てていきたいと思っています。

訪問看護が未経験でも、心配はいりません。

喜ままでは、最初からひとりで任せるのではなく、同行訪問を重ねながら、すこしずつ業務を覚えられる体制を整えています。

まずは見学に来て、職場の雰囲気や実際の働き方を知っていただけたらうれしいです。

職員インタビューはこちらから

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